10周年記念 メンバーソロ対談企画 10周年特別企画としてメンバー個々がチョイスした対談企画が実現!!

Vol.4

OKP-STAR×日向秀和(from ストレイテナー/Nothing's Carved In Stone)

日向「10周年、おめでとうございます」
OKP「ありがとうございます! いやぁ、出ましたね、よく見ているベースが」
日向「あはははは」

――― まずはやはり、初対面である日向さんを今回の対談にお迎えした理由から聞きたいです。

OKP「俺もベースを弾いてるんですけど」
日向「はいはい。存じております。メタリカがお好きなんですよね?」
OKP「ハイ(喜)。自分がカッケーなって思うミュージシャンに近づきたくて楽器を練習したり、研究したり、ファッションを真似てみたり、そこの最先端にいると思ってて。だから、あっ、ひなっちでいいっすか?」
日向「どうぞ、どうぞ。いらっしゃい!」
OKP「あの、僕は岡ちゃんで。ひなっちはベーシストとしてキッズが憧れる活動をしてるというか、俺が一番憧れている人なんすよ」
日向「ありがとうございまーす」
OKP「フレーズがとにかく好きで、こんな褒め倒して気持ち悪いですか?」
日向「単純にメチャメチャ嬉しいっす」
OKP「どハマりしたのはストレイテナーのアルバム『Nexus』からで。あの頃、自分の中で何かありませんでした?」
日向「まぁ尖ってましたよね。音も、自分を押し出していくメンタルも、今より断然攻めていて。でまた4人になった一発目だから、ひとり増えたことでの変化というのを、3人時代からのカタルシスにしてはいけないって思ってたんですよ。ただそこからどんどんこう、自分の好みや方向性が、ベーシックこそ楽しい!みたいに変わっていったんだけど」
OKP「そう。そういう尖ってた時代を経て、プレイ自体が、あ、この人、違うとこいっちゃったなぁと思ったんですよ。ただ"ウリャー!"っていうんじゃない、ちゃんと日本語を大事にして寄り添うんだけど、自分があるみたいな存在感を、それ以降はすごく感じて」
日向「自然とそうなってきましたね。例えば、原形のデモがバンッと出た時に、大体すぐに浮かんでくるんです。だからフレーズは1〜2時間で完成しちゃうの、1曲全部」
OKP「嘘でしょ?!」
日向「2タイプいると思うんです。一方は常日頃フレーズを練っていて、それを曲にはめ込むっていう人。けど僕はコード感や曲調はすごく考えるんだけど、フレーズに関してはノープランで、その時のインスピレーションだけでパパッと決めていくんですよね」
OKP「へぇぇ。けど日々考えてないにしても、音楽以外のところからインスピレーションを受けたりしてるんじゃないのかなぁと」
日向「しますします、すっごくします。服と映画ですね、僕の場合は。乗り物も大好きだけど、それは趣味かな。服や映画の世界観からはパワーをもらってるし、いろいろ吸収してると思う、うん。まぁ音楽もいっぱい聴くけど、映画は毎日何かしら観ているから」
OKP「たとえばどういうのを?」
日向「ジャンルは全然ないっすね。あ、でもあんまり邦画はないかな。日本語を聞きたくない感じなんですよ。海外の言葉でベラベラ喋ってる映像を観てるのがよくって」
OKP「俺もちょこちょこ観るんすけど」
日向「岡ちゃんはどういうのが好きなの?」
OKP「映像が綺麗なものだったり、ちょっと洒落系のを観ちゃったりしてて。まぁ内容は全然わかんなかったりもするんだけど、そこからこう、曲を書いたりも……します」
日向「すっごいわかります。僕もこの間、『ベイマックス』にかなり影響されて。フォール・アウト・ボーイの挿入歌がすっごいカッコいいから、ああいう曲作ろうって思ったり」
OKP「たぶん毎日いろんなところにアンテナを張っていて、たまに要らない情報もありつつも、その中から自分なりのこう……」
日向「チョイスみたいなね」
OKP「それはあの、"俺、仏陀みたいになったなー"とかっていう感覚はあるんすか?」
日向「いやいやいや(照笑)」
OKP「"あっ、俺、もうわかっちゃった!"みたいな時期が一回きてんじゃないかなぁと思ってて」
日向「あははは。でもすごいあってると思います。『Nexus』以降、バンドにおける自分をちゃんと見えるようになったというか。で、どういたらいいんだろう?って考えて、ハードなんだけどすごくソフト、極端でいたいと思ったんですよね。だから服も髪型も常に変えるし。そういうバサバサ感を出しつつ、ひなっちという個性を絶対的に残すってのは意識してるのかもしれない。フレーズ然り、キャラ然り。いやぁ、嬉しいっす。朝から岡ちゃんにこんなに褒められるとは」
OKP「すみません。なんかもう……」

――― 確か同い年なんですよね?

OKP「'76年だよね? まったく同じなの」
日向「そうなんだ。辰年?」
OKP「早生まれだから蛇なんだけど、学年は同じで。たぶん前世で会ってると思うな」

――― あれ、そっちに行った?(笑)

OKP「だって前世で会っていないと、ここで会えてないから」
日向「カルマだから。フフフ。ウチらの世代ってわりとそういう人が多いかもしれない」
OKP「みんな洋楽を聴いて育ってきて」
日向「メタリカとか、バイオハザードとか、全盛期だもんね」
OKP「ギターはこの企画で元メガデスのマーティー・フリードマンさんと対談してて」
日向「(笑)。マーティーさん、何度かプレイしたことあるよ。フリーセッションで」
OKP「あ〜、それ言いたいヤツ。"昨日フリーセッションしたから"、ハハハ。けどいろんな人から声が掛かるの、わかりますもん」
日向「基本的に呼んでいただくのがメッチャ嬉しいんで、お声が掛かったら一度は絶対やってみようっていうのはあります。というか、それだけっすね。横の繋がりでしかないんだってもう悟ったから。あのタイミングであの人に会ってないとこんなふうになってない、とかっていうことの大事さを日々感じてるし、すべてがそれで転がっていってるから」
OKP「俺もたまにサポートをやらしてもらう機会があるんだけど、40歳に向けて、どんどん増やしていきたいなぁと思ってて」
日向「うんうん。いいっすね」
OKP「ただスケジュールは大変じゃない?」
日向「まぁまぁまぁ。スケジュールはもう完全に両方のバンドのマネージャーさんで揉んでいただいて。だってすごい先まで決まってるもんね。再来年の話とかしてるから」
OKP「今はテナーとNothing's Carved In Stone?」

日向秀和

日向「そう、その2つがメイン」

――― そこの頭の切り替えはどうなんでしょう?

日向「前はしてたんですよ。こっちはこういうキャラで……みたいに。でも今は何も考えずに行って、"おはよう"みたいな会話から始まっていったほうが、スイッチが入るようになってきて。やっぱ自然体が一番いいなっていう結果になりました。まぁそれでいろんな服と対比させてこう、自分のキャラを自分で面白くさせていくが一種の楽しみになってるんだなぁと思いますね、今考えると」
OKP「ベーシストとしては一番最高の活動してると思うし。ねー、羨ましいわ」
日向「ハハハ。けどこれからいろいろやっていくと視野が広がっていって、自分らしいプレイはこういうことなんだ!って逆に発見したり、気づけたりすると思うから」
OKP「例えば、ライヴの前、何かルーティーンにしてることはあるんですか?」
日向「特には。衣装に着替えるくらい?」

――― やっぱり服は大事なんだ。

日向「あぁ、服がスイッチなのかもしれないね。節目節目で切り替わる鍵っちゅーか」
OKP「ライヴ中は何を考えてます?」
日向「お客さんとのコミュニケーションが楽しいなっていうことしか考えてないっす。その上で、手が勝手に動いてる時が多分一番調子いいですね。ライヴのモチベーションもスキルも全部整ってる。逆に、あぁ、このフレーズはこうやんなきゃとか、あれ、どうだっけ?って思ってる時は、あんまりこう……」

OKP-STAR

OKP「わかる! まったく一緒。すげぇ焦ってんの、ひとりで」
日向「そうそう。次なんだっけ? あれ、次は?って、やたら飛ぶ日。あれは調子悪い」
OKP「ある。そしてひなっちもそういう時があると聞いて、俺ももうちょっと頑張れるかなって思った。それでもいつもすごい状態までいってるように見えるし、もちろんそういうふうに見えないとダメなんだけどさ」
日向「最近、さらにちょっと見えてきてて」
OKP「えっ、どうした? どうした?」
日向「言葉にするのが難しいんだけど。盛り上がり過ぎてプレイがおざなりになるとか、ライヴし過ぎちゃってるよりは、サウンドのクオリティを高める方向性だけど、テンションは最高潮アガってるっていう、そのバランスが日々磨かれてきてるような気がしてて。最近、ライヴ音源を録る機会が多くて、それを聴き返す度に、ヨッシャー!っていう感じになれてて。それはね、なんか面白い」

――― そこも自然とそうなっていた感じですか?

日向「うん。自分をバーンと打ち出したいがためにそんなバラつきのあるプレイをしてちゃダメでしょっていう意識と、ショーとしての完成度を高めることへの意識が重なってきたというか。それで、もっと自分のプレイを突き詰めなきゃって考えるようになって、そしたら一個一個合致していって質が上がってきたような感じが、それこそ『Nexus』以降? ハハハハ。いや、ホントに」
OKP「へぇぇぇ」
日向「だから今は断然、普通の4分のプレイでも気持ちが伝わっていく、曲の世界が広がっていくメンタルのほうが好きになって。ロックのバンドマンと、プレイヤーって全然違うから。バンドマンのカタルシスはすごく高いし、そこにスタジオ系のベースプレイヤーのスキルが重なっていけば無敵だから、そこを新しく作れる人になりたいというか」
OKP「それは俺もいつも思ってる。けどひなっちはもう、そこに片足どころか体まで突っ込んでるから。同世代としてはすごい憧れるし、これからもずっと観ていたい」
(つづく)

この対談の完全版は8月末発売予定のAqua Timez10周年記念アーティストブック「流るる風の跡を−Aqua Timez 10th Anniversary Book−」(シンコーミュージック・エンタテイメント発行)に掲載されます。

文 / 山本祥子 写真 / 山本さちこ 
編集協力 / B-PASS

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