Aqua Timez 「ダレカの地上絵」 セルフライナーノーツ
「ダレカの地上絵」
まず、今回のアルバムのタイトルですが「ナスカの地上絵」をパロったものです。
顔も名前も性別も年齢もわからない誰か(もしかしたら何千年も前の人かもしれない)が仮に「人間」という模様を描いていたとして、その模様に共感することってあると思うんです。
いつの時代も人間は同じようなところで優しくて、悲しくて、ずるくて、人によく思われようとしたり、土壇場で卑屈になったり、状況の全てを他人のせいにしたり、なんで自分だけがって思ったり、傷ついた分傷つけようとしたり、愛した分愛されようとしたりetc…
近くで見たら細かい部分は違うけど、上空ほどの遠いところから見れば似てる。そして近づいてみれば違う部分はたくさんあるので、分かり合えないという過程は必ず通るのですがそれでも人間は繋がっていくと思うんです。というか誰もが繋がりたいと思ってるはず・・・
段々大げさになってきたのでこの辺でやめておきます。
誰かわかんないけど、あんたの言う事なんかわかるよっていうアルバムにしたいという想いを込めて「ダレカの地上絵」にしました。
「ダレカの地上絵」2007.11.21 Release!
Aqua Timez 太志

1.一瞬の塵
太 志: シングルでは絶対やれないことをまず一曲目にやりまりした。間奏の部分では友達のジャミルに参加してもらいました。参加後にジャミルがあのspeechやTERIYAKI BOYZのWISE君、Metisといった方々と一緒に曲を出すということを知りました。ジャミル!speechと曲を出すってあんた何者なの。とにかく音楽に一生懸命で、いいやつで、今度は曲作りの段階から一緒にやりたいなって思いました。
Aqua Timezファンはもちろん、全ての音楽ファンに聴いてほしい曲になりました。自信作。
OKP-STAR: アルバムの中で一番お気に入りの曲。もともとイントロの構想は僕の頭の中にあって、それを大介がイメージ以上のイイものにアレンジしてくれました。今のAqua Timez、これからのAqua Timezを象徴する1曲に仕上がったと思います!
大介: まさにアルバムの一曲目!といえる曲です。ざくざくと刻むギターと、それに乗るラップが気持ちいい。とてもグルービーに、激しいロックに仕上がったと思います。聴いてると何かうずうずしてきます。
mayuko: 最初から1曲目って決まっていた曲です。歌もカッコイイし、全部の楽器がカッコイイ!アルバムのオープニングにふさわしい曲になりました。
TASSHI: かなり不思議な曲ですね。ギターのカッティングにスラップベース、パーカッションやストリングスまで入って、1曲目から、みんな好き放題やってます!イントロ長いですけど、飛ばさないで聴いてくださいね(笑)

2.世界で一番小さな海よ
太 志: ALONESのインタビューの時と重複しますが、孤独感は部屋に独りでいる時というよりは、目の前で賑わっている輪に入れない時に感じるものだと思います。そしてどんどん内側に閉じていってしまう。その内側をALONESの時よりも具体的に描きました。
OKP-STAR: 最初のアレンジはテンポがもっとゆっくりで、「七色の落書き」に収録されている「ひとつだけ」っぽいイメージだった。アレンジの途中段階で少しテンポを上げてみようってなってからはすんなり作業が進んでいきましたね。テンポアップすることで曲のスケールが大きくなり、サビにもインパクトが出ました。
大介: 歌詞の内容がわりとシリアスで、曲の雰囲気もシックなミドルナンバー。今までにない、シンプルなアレンジで、新しい曲のカラーが出せたと思っています。
mayuko: レコーディングの終盤でできた曲。詞の世界が、透明感とかなしみに溢れていて、オケの雰囲気もそれに合わせてうまくできたなぁと思います。個人的には2番のピアノが気に入ってます。
TASSHI: イントロのピアノのメロディが印象的で、独特の浮遊感のある曲に仕上がりました。2番でメロディを奏でているベースラインと、他の曲よりも、ダークで心に突き刺さる感じの歌詞が、個人的にかなり好きです。

3.しおり
太 志: 学生の頃の恋愛って生活の中のかなりの部分を占めていたような気がします。ほぼ全てっていうくらい。授業中も好きな子のこと考えてたり、放課後に「誰といるんだろうなぁ」って切なくなったり。男子は女々しいものだ・・・。それは女子も一緒かな。そうであってほしい!
OKP-STAR: まずサビを太志が持ってきて、そこから全員でアレンジしていきました。アレンジの段階でAメロ、Bメロ、間奏部分などはコード進行が何パターンも案があって、この状態に落ち着くのに結構大変だった(泣)意外と時間がかかった曲です。
大介: 今年一発目のシングル曲。とてもさわやかな曲でありながらも、歌詞の内容は失恋している切ない恋の話。気持ちよく晴れた日に、自転車に乗りながら聴きたい曲ですね。
mayuko: ライブでは繰り返しやっていますが、アルバムに収録するということで久しぶりに音源を聴いて、懐かしかった。このころの気持ちを忘れないでいたいなぁと思います。
TASSHI: 春に出したシングルということもあって、春らしくさわやかで爽快なサウンドになるよう心がけました。失恋の歌だし、切なくて儚いけど、どこか温もりのある感じが気に入ってます。

4.小さな掌
太 志: 是非「完全版PV」を見てもらいたいですね。そこにこの曲の真意が込められているので。
人生は続いて行きます。昨日の続きとして今日があって、過去は変えられないから、そこから学んで進むしかないんです。
OKP-STAR: この曲は太志がデモ音源を持ってきた時点で、歌詞とメロディーは7割くらいは出来上がってました。演奏面での当初の構想としては豪華に、壮大にというイメージでアレンジしていったんだけど、それだとちょっと歌詞が伝わりにくいかなってことになって、個々人の演奏は出来るだけシンプルにしていきました。”シンプル”って難しい!(泣)
大介: メンバーみんなで納得いくまでアレンジした、まさに今のAqua Timezど真ん中の曲。歌詞の内容や、ピアノとストリングスのメロディ、じっくり聴いてほしい曲です。
mayuko: デモが完成したときの気持ち・・・最高でした。早くみんなに聴いてほしかった。間奏からラストにかけての盛り上がり、5人で絶妙に表現できたと思います!
TASSHI: シンプルだけどドラマティックに、包み込むような空気感を出すようなアレンジにしました。この曲は、老若男女問わず、全ての世代の人にぜひ聴いてもらいたいですね。

5.B with U
太 志: 可愛い恋愛の曲です。想像上の人物です。自分の理想をかなり混ぜてますが(笑)
EBISちゃんのコーラス綺麗だわ、やっぱり。
OKP-STAR: 個人的には今回のアルバムのレコーディングで、いちばん”ゆる〜い”感じでリラックスしてプレイ出来た曲ですね(笑)もちろんいい意味でですよ!聴いてくれるみんなも、ホッと一息つける曲になればいいかな。
大介: このアルバムの中で、一番明るい、軽快なナンバー。とくにイントロのベースが印象的。聴いているととても暖かい気持ちになります。コーラスEBISの声もぜひ聴いてみてください。
mayuko: Aqua Timezでは珍しい、幸福なムードいっぱいの曲になりました。レゲエのリズムもユルい感じで心地よく、響いてきますね〜。EBISちゃんのコーラスもステキです。
TASSHI: この曲だけ、かなり毛色が違いますね(笑)最初、歌詞を見て、「久々に真っ直ぐなラブソング来たー!」 って思いました。レゲエっぽくて陽気なサウンドですけど、EBISの声がはいったことによって、陽気さの上に華やかさが加わり、すごく良い雰囲気に仕上がりました。

6.ピボット
太 志: スラムダンク世代として、安西先生はみんなの先生でした。スラムダンクという漫画を知らない世代のみんなにも読んでもらいたいな!
OKP-STAR: 「B with U」でホッと一息ついたところで…この曲!大介が持ってきたデモ音源をみんなでアレンジしていきました。こういう曲はドラムとギターが肝になってくるので特にドラムとギターの”音質”にこだわってレコーディングしていきました。あと、この曲と「乱気流」のmayukoのシンセの音も際立っていて新たな色が出せたと思います。ライブで盛り上がろうぜ!みたいな?!
大介: とにかくヘビーなロック!初めて聴いたらかなりびっくりするかも。ドラム、ベース、ギター、ガンガンにやらかしてます。ライブで一緒に盛り上がれたらいいなと思います。
mayuko: ヘヴィでありながらも聴きやすくてカッコイイ曲!個人的には、今までやらなかった雰囲気のキーボードに挑戦した感じがあります。自分の幅を広げられた1曲。
TASSHI: イントロや間奏のオリエンタルな雰囲気と、へヴィーなギターリフとの対比がとてもおもしろいです。ドラやウィンドチャイムも入ってたりして、遊び心に溢れてる曲です。ギターサウンドに負けないように、重くて太いドラムサウンドにしました。

7.白昼夢
太 志: OKPが作ったギターの雰囲気を聴いて、OKPはファイナルファンタジーの世界観が好きなのかな?って思って聞いたら「それやったことないんだよ」って言われて・・・僕はFF大好きなので「クリスタル」ってタイトルにしようと思ってたんですが、それはあまりにも個人的過ぎるネーミングだと思い、色々考えた挙句「白昼夢」と名付けました。ちなみにFFは7が一番好きです。
OKP-STAR: アコースティックギターのフレーズを僕が持ってきて、そこに「mayuちゃん!このギターにいい感じのピアノフレーズを弾いてみちゃって!」なんて言ってるうちに原型が出来上がっていきました。それだけだと何となくパッとしなくて…。そこにTASSHIが面白いビートを乗せてくれたことによって曲がシマリました!
大介: 次の曲、秋の下でにつながるインタールード。前作のインタールード、green-birdよりもゆっくりとしたテンポで、不思議な雰囲気に仕上がっています。
mayuko: ツアー中のホテルの一室でみんなで集まって生まれた曲です。白昼夢というタイトルを太志がつけて、なんかすごくしっくり、落ち着きました。
TASSHI: この曲を聴くと、なぜか村上春樹さんの小説を思い出します。現実と非現実の区別がつかなくなるような不思議な感覚。

8.秋の下で
太 志: この曲は、RADWIMPSやBEAT CRUSADERSの曲のミックスをやっているエンジニアさん(中村さん)にお願いしました。やはりエンジニアさんによって仕上がりにそれぞれの個性があって、この曲はかなりエッジが効いたものになりました!かっこいい。
OKP-STAR: 「一瞬の塵」の次に大好きな曲!一定のビートの中で曲に変化をつけていくことにホント苦労しました。間奏の部分は今までのAqua Timezにはない雰囲気に仕上がったと思います。出来上がりを聴いたときはまぢで感動しました(泣)ホント沢山の人に聴いてほしい曲です!
大介: この曲、かなり気に入ってます。クールな雰囲気のAメロ、ズドンとくるサビ。そして悲しげな間奏。何回も聴いてしまいたくなります。
mayuko: 白昼夢からのつながりは、みんなでこだわったところです。不思議でクールな雰囲気の曲に、太志の詞が強く響く、これまた今までにない感じの曲になりました。
TASSHI: 音質面では、このアルバムの中で、一番好きな曲です。みんなで、スタジオでせーのって感じでバンド感を出すというよりも、一音一音を丁寧に作り、それを重ねていくような感じで曲を仕上げました。

9.ALONES
太 志: 悲しみのない人生はありませんが、ずっと続く悲しみもないはずで。それを前提にこの歌詞を書きました。
OKP-STAR: この曲も、もともとサビの歌詞とメロディがあってそこから膨らませていった曲。ギターソロの部分でラテン的な雰囲気を盛り込むことが出来たのは、自分達のアレンジ面での自信にもつながりました。Aqua Timezというバンドとしてまたひとつ成長することができた1曲です!
大介: シングル初のとがったロック。要所要所に入っているラテン風ギターのレコーティングはかなり苦労しました。ライブでも盛り上がる、かなりテンションのあがる曲です。
mayuko: 2007年の夏を思い出します。PV撮影の時のことや、ツアーでみんなで盛り上がっている景色が浮かんできます。アルバムの中で聴くと、なんかグッときます。
TASSHI: とてもメロディが印象的で強い曲。ただ、演奏は、歌の世界とは真逆で、アップテンポでとんがったサウンドにしました。そうすることによって、すいかに塩を振り掛けるのと同じで、メロディの美しさがより際立ったと思います。リズムに関しては、ドラムンベースっぽいリズムを生ドラムでやるとどうなるかってのに挑戦しました。

10.乱気流
太 志: TASSHIが打ち込みのエディットを時間をかけて頑張っていました。Aqua Timezに入る前は生ドラムの表現にこだわってきた彼が、打ち込みならではの表現に挑戦する姿は一つの殻を破る決意でもあり、猛々しいものを感じました。大げさ(笑)
OKP-STAR: まず僕と大介でデモ音源を制作していきました。この曲の仮タイトルが「パンク555」っていう名前で(笑)最初は勢い重視のストレートなノリノリの曲だったんだけど、リズムの雰囲気作りに関してTASSHIが面白いアイディアを出してきて、それがモロに反映された曲です。それによってまた一味違ったパンクな曲に仕上がったと思います。
大介: かなりアップテンポで、デジタル要素など、いろいろな遊び心満載のロック。シンセもおもしろい音満載!ドラムもかなり遊んでます!今までにない、新しい感覚の曲です。
mayuko: リズムがかっこいい!アルバムの終盤でさらに勢いをつけてくれる曲になりました。個人的にはラストのサビ直前の、ドラムがすごいことになっているところが好きです!
TASSHI: Aqua Timez風パンクロック。曲の後半にいくに連れて、ドラムがおかしなことになってます(笑)ピボットとは逆に、軽快で切れ味のあるドラムサウンドにしました。とんがった音のシンセがかなり効果的に使われていて、とても好きです。

11.ガーネット
太 志: 弦一徹ストリングスの皆さんとバンドの演奏がガッチリはまっていて、すごく納得のいく仕上がりになりました。7年くらい前に書いた歌詞です。
OKP-STAR: この曲も今回のアルバムの中でかなりお気に入りの曲!Aメロ、Bメロの”静”、サビの”動”がハッキリ出せて、歌詞が心に突き刺ささってくるアレンジに仕上げることが出来たと思ってます。2サビ後の間奏の部分は、ラストのサビをいかに引き立たせるかっていうことを考えて何パターンもアイディアを出しあいました。
大介: タイトなリズムでアコースティックな雰囲気のAメロから始まり、激しいギターとストリングスのサビが印象的。間奏部分のオーボエのソロもいい雰囲気になっていて、聴いていて切なくなってきます。
mayuko: 私はこの詞が、アルバムの中で一番好きかもしれません。アレンジ的にも、きれいな音色を積み重ねて、サビではガツンといく、Aqua Timezらしい楽曲になったと思います。
TASSHI: 前半のアコースティックギターとサビでの歪んだギターサウンドの対比。静と動。ガラっと雰囲気が変わる間奏。うん、単純にカッコいいですね、この曲。

12.僕の場所
太 志: 他人の噂とか不満や小さなすれ違いからの言い争いなど・・・。そういったもので埋め尽くされていく毎日。悲しいけどそれが現実で。でも、疲れたらここに戻ってくればいいと思う、そんな場所を描きました。ひずんだ音の中にも静寂が聴こえてくる。エンジニアさんの牧野さんのミックスはやはり素晴らしい。そして優しい。
来年は合宿REC行きたいな。自然に包まれた環境で過ごしながら作りたいな。
OKP-STAR: この曲も「小さな掌」同様、歌詞に重点をおいてアレンジしていきました。イントロは最初のアレンジではギターだけだったんだけど、ハープを入れたことによってこの曲の良さが何倍にも膨れあがりました。
大介: このアルバムを通して聴いていくと、この曲のエンディングで、このアルバム制作の楽しかったこと、つらかったこと、いろんなことを思い出します。とにかくじっくりと聴いてほしい曲です。
mayuko: アルバムのラストの曲…と最初から決まっていた曲です。アルバムを聴き終えて、なにか心があたたかくなるような、ホッとするような、そんな風に聴いてもらえたらうれしいです。
TASSHI: 最後の曲にふさわしく、とても壮大な曲になりました。ハープが入ってるんですが、レコーディングでハープ奏者の方が実際に演奏されてるのを拝見して、その音色がホントに美しくてとても感動しました。後半の盛り上がってくるバンドに絡んでくるストリングスもとてもアツいので、その辺りをぜひ聴いてみてください!

13.夢風船(yurikago version)
太 志: シングルのバージョンも好きですが、今回はかなり違ったアプローチになりました。同じ歌詞でも、音やアレンジが違うと、メッセージとしても新鮮な響きになりますね。でも前向きであることは決して変わらない。音楽って楽しい。
OKP-STAR: 曲の出だしのアイディアはmayukoが持ってきて、それをモチーフにみんなでアレンジしていきました。途中ベルの音も入っていて、それがいい季節感を出せたかなと思ってます。僕の中では冬の、夜の、ニューヨークのCafeっぽいイメージ(笑)
大介: シングル「しおり」のカップリング曲の別アレンジ。ふわふわとしたアレンジで、聴いていると、どこか幻想的な場所へ連れて行かれる気分になりますよ。間奏とエンディングに入っている鐘の音もいい感じです!
mayuko: 「子守唄」みたいなものをイメージして、アレンジし直しました。Peacefulな雰囲気が出せたかなぁと思います。
TASSHI: 前のアレンジとはガラっと変えようっていう風にみんなで言ってたんで、ホントに雰囲気変わりましたね。ハンドクラップをみんなでレコーディングしたので、とても思い出深いです。

当たり前ですがメンバー五人だけで作ったものではありません。たくさんの方達と目指すものを一つに決めて、みんなが必死になって作ることができたアルバムです。そのことが純粋に嬉しいし、僕みたいな人間がその中の一員になれていることに、まず僕の母親がびっくりしています。「あんた!周りの人たちに迷惑かけずにちゃんとやんなさいよ!」と未だにゲキを飛ばされる僕ですから…。一歩一歩成長していきたいですね。
現時点のベストは尽くしました。
あとは聴いてくれるみんなの心に届くことを願うだけです。
Aqua Timez 太志